日曜の午前中に・・・

日曜の午前中に・・・

自分と彼女が会うのはどんな場合でも、日曜の午前中と決まっていました。
その時刻、今までの自分は趣味の将棋倶楽部に通うタイミングで、それなら家内に疑われることなく家から出られるためです。
自分はタクシーを拾い、隣町に設けられているホテル前でおり、そこで彼女と落ちあってホテルに入るのでした。
朝の陽射しのまぶしい時刻でしたが、彼女は愚痴一つ言うことなく自分の言いつけ通りにしました。
「この一週間、連続であなただけのことばかり思っていました」 彼女のその言葉は、職場で顔をあわせている折は、これまでおんなじ事務員という形で自分と接触する必要があるつらさい思いを、婉曲に物語っていました。
「これに関しては僕も一緒だよ」「本当?」嘘ではないことを教える為に私は、それからの数時間と言うもの彼女を、一心不乱に愛し続けました。
「考えちゃいけないことだとは認識していても、あなたがお家庭で奥さんとおられるところが、いやでも頭によぎる。
五感が張り裂けそうな気持ちになるの」 自分と別れてこの後また一週間、ひとりでいなければならいことを考えるとつい、そういった不満もこぼれるのでしょう。
自分をみつめる彼女の目は、恐いまでに真剣な光をおびていました。
そこで自分は何も言うことができずに、だけど彼女を激しく抱いてやることしかなかったのです。
職場の中で、彼女がときおり、自分のデスクにやってきては、これ、どうぞと、お菓子や果物をもってくるようになったのは、それからまもなくのことなのです。
これまでにも何回かあって、その際は読み終えた文庫本を貸してくれたりしたものでした。自分もとりわけ笑顔でうけとっている状態でしたが、あまりにそれが繰り返しなってくると、どうしても周囲の目のこともあって、自分は次に二人で会ったときに、あの行動は控えるよう彼女に注意したわけです。
したら彼女は、私自身でもいけないことだと認識していても、あなたに会いたい一心から衝動的に動いてしまうのだと言いました。